陸自 全部隊参加大演習の中止を!!
…琉球弧の島々で戦争を行う準備と、更なる隣国への挑発を許すな!
+何が「自由で開かれたインド太平洋」だ!(序)
「令和3年度陸上自衛隊演習」…youtube 陸自広報チャンネル(9月10日)より
本当にやるつもりなのか、と思っていた。
「南西諸島 14万人演習」という見出し。…昨年10月30日、読売新聞が「陸上自衛隊は来年、日本の本格的名有事に備える約35年ぶりの大規模演習を行うことを検討している。ほぼ全隊員にあたる約14万人が参加し…」と伝えた「日米安保60年」の特集記事が、最初の報道だったと思う。
2021年秋、琉球弧への一連の新基地建設・部隊配備、ミサイル戦争・島嶼戦争態勢始動へのめどが立った段階で、「東京五輪後/コロナ後」の疲弊した日本社会で、壮大な「中国脅威論」キャンペーンとともに、このような戦争挑発が行われるのか! あまりにも恐ろしいことだ、と思っていた。
そしてとうとう2021年9月になったけれど、戦争態勢始動へのめどはまだ立っていない。宮古島では住民たちが、ミサイル搬入を阻止し続けている。他の島々でも、住民は必死に持ちこたえている。「コロナ後」にもなっていなかった。
しかし今年に入ってからこの秋に至る「インド太平洋地域」をめぐる日米+各国の行動(下に羅列します)はあまりにも挑発的で、「台湾有事」煽動も激しい。そこへさらに、挑発を重ねようというのか。
全陸自が参加、という演習のテーマは、琉球弧での有事に全国の自衛隊をどう動かすか、という機動展開や兵站等「移動」に関わるものになるだろう、…現在の「コロナ禍」と言われる状況でそれをやるだろうか、と思われたが、9月9日、陸上自衛隊は、全国の全ての部隊を参加対象にした 「陸上自衛隊演習」を9月15日から11月下旬に実施する、と発表した。参加人数は約10万人(隊員)とのこと。
防衛省は、海洋進出の動きを強める中国を念頭に沖縄や鹿児島の離島に新たに部隊を配備するなど南西地域の防衛体制の強化を進めていて、この地域で緊張が高まれば全国から部隊を集め、あらゆる事態に切れ目なく対応するとしています。
こうした中、陸上自衛隊はことし9月から11月にかけて南西地域の防衛を想定し、およそ14万人いるすべての隊員が参加する過去最大規模の演習を行う計画です。
北海道と東北、四国から「師団」や「旅団」と呼ばれる数千人から1万人規模の3つの部隊を九州に展開する予定で、全国の部隊が参加し、これだけの規模で演習を行うのはおよそ30年ぶりだということです。
(4月16日 NHKニュースより。4月頃までは「14万人」と言われていた。)
陸上自衛隊の発表によると、訓練内容は「作戦準備段階」に焦点を当てるものだった。琉球弧での島嶼戦争の準備。作戦を滞りなく遂行するための、機動展開、予備自衛官の招集、民間の活用、兵站、衛生、通信など…、明日戦争になっても対応できる、そのような態勢づくりが急がれているのだろうか。
9月15日、「令和3年度陸上自衛隊演習」は、本当に始まった。
▼陸自広報動画より
…陸上自衛隊は、令和3年9月15日(水)~11月下旬までの間、「陸上自衛隊演習」を実施します。 本演習は、平成5年以来約30年ぶりに陸上自衛隊全部隊を対象として実動演習に取り組む大規模演習であり、作戦準備段階に焦点を当てて、運用の実効性向上と抑止力・対処力を強化するものです。 本演習の紹介動画をご覧ください。
…本演習は陸自全部隊が参加する過去最大規模の演習であるとともに、各種作戦行動の前提となる、作戦準備を焦点とした演習である。
…5つの訓練項目から構成される
①出動準備訓練…全部隊が駐・分屯地ごとに、防衛出動のために必要な準備を実施。
②機動展開等訓練…3個の師・旅団を同時に機動展開。
③出動整備訓練…防衛出動に応じ、所要の部隊等を編成するために、予備自衛官を招集し部隊を編成、訓練を実施。
④兵站・衛生訓練…作戦に必要な補給品を集積、梱包して、その一部を各種輸送手段により作戦地域に輸送。
⑤システム通信訓練…必要なシステム通信を全国に構成、維持、運営。
…陸上自衛隊の強固な意志と高い能力が、この陸上自衛隊演習に込められる。
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1.パラオ/「南洋群島」
…だが、ニミッツはペリリュー島の飛行場を奪取し、アンガウル島に新たな飛行場を建設すれば、レイテ作戦の航空支援に使えるとして、攻略作戦決行を指示した。こうして、南洋群島にもう一つ地獄が加えられることになった。
… 絶対国防圏を破られ、本土での決戦を決意して以降の大本営からすると、命を早々に「安売り」されては困るのだ。できるだけ長く抵抗し、「敵に命を高く買わ せる」ことが重要となる。「美しき死」より「長く苦しい死」が求められ、「時間をかけて玉砕する」ことが命じられた。ペリリュー島の戦いは、南洋群島がサイパン戦時の「防波堤」から「捨て石」に変わったことを明らかにしている。
…南洋群島での戦いはペリリユー、アンガウル島で終わった。最後の戦いは戦略的にはほとんど無意味で、本土決戦までの時間かせぎという面でも成果があったとはいえない。
…ペリリユーで激戦が行われているころ、パラオ本島には四万数千人の軍民がいた。地上戦はなかったが、これだけの人間を養う食糧はなく、飢餓地獄が待っていた。
『忘れられた島々 「南洋群島」の現代史』井上亮著、平凡社新書、2015年8月刊
第一次世界大戦後、日本政府はミクロネシアの島々(一部を除く)…当時「南洋群島」と呼ばれた…を「委任統治領」とした。そのことが、後の太平洋戦争につながった。南洋の小さな島々は、日本とアメリカの戦争の戦場にされた。沖縄に先んじて、「捨て石」にされた。
当初は、国際連盟の受任国としての「委任統治」であり、軍事施設の建設は認められていなかった。しかし1933年の国際連盟脱退宣言以来、南洋群島の戦略的重要性を訴える「海の生命線」キャンペーンが始まり、島々の実質的な「領土化」が進んだ。1940年の日独伊三国同盟締結後、日本は南洋群島に本格的な飛行場・軍用港湾施設の建設を始めた。
…1942年8月、米軍はソロモン諸島・ガダルカナル島、ツラギ島へ上陸、米海兵隊と日本軍島嶼守備部隊との島嶼戦争が始まった。以後、1943年11月〜ギルバート諸島・タワラ、マキン(米海兵隊の本格的な「水陸両用作戦」の始まり)。1944年2月〜マーシャル諸島・ルオット島、クェゼリン島、ナムル島に米軍上陸。1944年6月〜マリアナ諸島・サイパン島、グアム島、テニアン島に米軍上陸。1944年9月〜パラオ諸島・ペリリユー島、アンガウル島に米軍上陸。1944年10月〜フィリピン・レイテ島、ルソン島他。1945年2月〜小笠原諸島・硫黄島。1945年3月〜沖縄島…。
2021年9月1日、海上自衛隊はパラオ共和国と史上初の親善訓練を行った。「インド太平洋方面派遣訓練部隊(IPD21)」として太平洋島嶼地域を訪問している護衛艦「かが」「むらさめ」「しらぬい」は、パラオ周辺海域で、パラオ共和国海上保安庁の巡視船「ケダム」等と親善訓練を実施。岸防衛大臣は3日の会見で「今回の訓練や寄港を通じ、パラオ共和国との相互理解の促進を図るだけでなく〝自由で開かれたインド太平洋〟の維持・強化に向けて協働している姿を示すことができた」と述べた。
9月2日、日本の防衛省が主催する初の多国間防衛相会合「日・太平洋島嶼国国防大臣会合(JPIDD)」に、岸防衛大臣が出席した(テレビ会議式)。会合には日本と、太平洋島嶼国(フィジー、パプアニューギニア、トンガ)と地域のパートナーの国々(オース トラリア、カナダ、クック諸島、フランス、ミクロネシア連邦、キリバス共和国、マーシャル諸島共和国、ナウル共和国、ニュージーランド、ニウエ、パラオ共和国、ソロモン諸島、ツバル、英国、米国、バヌアツ)が参加。共同声明を採択した。
3.
岸大臣は、自由で開かれたインド太平洋に関するビジョンを共有する全ての当事者と共に、「自由で開かれたインド太平洋」の維持・強化に向けた防衛省及び自衛隊のコミットメントを新たにした。岸大臣は、PALM9で発表された「太平洋のキズナ政策」に基づき、自衛隊の艦艇による寄港や航空機による寄航等の交流や、海洋安全保障や災害救援をはじめとする分野における人材育成面での協力を通じて、国防当局間における協力を推進していくとの日本の意図を表明した。
大臣及び代表者は、当該協力を推進する日本の意図を歓迎した。 (共同声明 より)
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2.アメリカ/「PDI」
2018年5月、アメリカ「太平洋軍」は「インド太平洋軍」に改称された。
2021年1月に成立した「2021年度国防授権法」は、「太平洋抑止イニシアティブ(PDI)」という新たな基金の創設を定めた。PDIは「インド太平洋地域における米国の抑止力と防衛態勢の強化、同盟国とパートナーへの安心の提供及び地域における能力と即応性の強化」を目的とする。米連邦議会は国防省に対して、PDIの年次予算案、事業計画、進捗報告等の提出などを要請し、インド太平洋軍は、2022〜27年度の6年間で約274億ドル(約3兆円)を要求するとともに、報告書を提出した。
報告書には「PDIに関するインド太平洋軍の取り組み」として5本の柱が提示された。
①統合軍の攻撃力
②戦力編成と態勢
③同盟国とパートナー国の強化
④演習、実験、イノベーション
⑤兵站・警備強化
①では、第一列島線上に沿った精密打撃ネットワークの構築・統合軍部隊の展開、第二列島線上における統合防空ミサイル防衛、分散的な戦力態勢などの構築を目指している。
これにより、自衛隊の南西シフトに連動した「第一列島線」を最前線とする「インド太平洋地域」の大軍拡が、…2019年5月にCSBA(戦略予算評価センター)が発表した「海洋プレッシャー」等の戦略で構想されたものが、実現に向かって大きく動き出すことになるのだろうか。
さらに、②では「軍種間統合を進めたうえで統合軍部隊を分散配備」するとし、「航空機・艦船を分散させるための飛行場・港湾」や「航空優勢・海上優勢を生み出すための長距離兵器を運用する地上軍部隊が展開可能な場所、兵站・補給拠点・物資事前集積地など」を「ミクロネシア連邦、マーシャル諸島共和国、パラオ共和国、その他大洋州諸国や東南アジア諸国などで確保する」としている。
③では「米軍との共同作戦、演習、訓練の頻度と密度を高め、相互運用性や補完性を向上し、中国との競争に臨むための調整を進めていく」とのこと。
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米国はその軍事戦略の軸足をインド太平洋地域に移し、各国との協力態勢を推進している。日本は南西シフトを進めるとともに、「太平洋島嶼国」との協力態勢ではリーダーシップを発揮しようとしている。
かつて軍事戦略上の重要拠点として利用された島々、地上戦の戦場とされた島々。…琉球弧の島々、東南アジアの島々、「南洋群島」と呼ばれた南太平洋の島々が、「第一列島線」や「第二列島線」、しまいには「第三列島線」などと名付けられ、戦争拠点として利用され尽くそうとしている。これを正当化するためには、どれほど中国を悪魔化すれば足りるのだろうか。
スローガンは、「自由で開かれたインド太平洋」「大東亜共栄圏」「価値観外交」「八紘一宇」「第一列島線」「海の生命線」…
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3.日本+ /最近の「初の◯◯共同◯◯訓練」
2021年5月11〜17日、海上自衛隊は「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けて防衛協力関係を強化すべく、日米豪仏共同訓練(ARC21)を実施した。陸上自衛隊は日米仏共同訓練(ARC21)を実施した…「自由で開かれたインド太平洋の実現のため、陸上自衛隊は仏陸軍及び米海兵隊とともに共同訓練を実施します。日米仏の陸軍種による日本領土内での実働訓練は今回が初めての試みです。(陸自広報)」
海上自衛隊は14日、東シナ海で日米豪仏の艦艇が編隊を組んで航行する画像を公開した。この4カ国が東シナ海でそろって訓練するのは初めてのこと。中国を強く挑発した。
陸上自衛隊は15日、宮崎県・鹿児島県の霧島演習場での「離島奪回」を想定した日米仏共同実働訓練を公開した。仏軍のアンリ・マルカイユ中佐は「フランスは太平洋国家として日米と認識を共有している。今後も日本での訓練を続け、相互運用能力の向上を図りたい」と述べた。
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6月18日〜7月11日、陸上自衛隊は、日米共同実働訓練「オリエントシールド21」を実施した。
6月30日、矢臼別演習場(北海道別海町)で、過去最大規模の日米共同地対地ミサイル実射訓練が公開された。アメリカ陸軍は、高機動ロケット砲システム「HIMARS」の実弾射撃を日本で初めて行った。HIMARSは、輸送機で運べる機動性の高さが特徴だという。一方、陸上自衛隊は、多連装ロケットシステム「MLRS」を展開した。
7月1日、奄美駐屯地で米陸軍PAC3と奄美に新配備された陸自地対空ミサイル部隊の訓練が公開された。米陸軍の迎撃ミサイル部隊が初めて奄美大島に展開した。ジョエル・B・ヴァウル在日米陸軍司令官は「侵略への抑止を示すもので、開かれたインド・太平洋を守る意思を示すもの。」と述べた。
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6月25日〜8月7日、オーストラリアで日米豪英実動訓練「タリスマン・セイバー21」が行われた。陸上自衛隊と豪陸軍・英米海兵隊による、豪軍艦を使用した水陸両用作戦に関わる訓練。「タリスマン・セイバー」には今回初めて英国が加わった。
さらに14日、11カ国が共同訓練を行った。日米英豪にカナダ、韓国、ニュージーランドの3カ国が加わり、インド、インドネシア、ドイツ、フランスがオブザーバー国として人員を派遣した。加藤勝信官房長官は15日の記者会見で「自由で開かれたインド太平洋の維持強化に向けた連携を一層強化する意義がある」と述べた。吉田圭秀陸上幕僚長は「水陸両用作戦はわが国の防衛の焦点である南西の島嶼防衛における極めて重要な作戦だ」と話した。
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6月30日、海上自衛隊が東シナ海でインドと訓練。「日印両国が東シナ海で共同訓練するのは異例。連携関係を示し、インド太平洋で活動を強める中国をけん制する狙いがあるとみられる。(共同通信6.30)」
(5月には、日印物品役務相互提供協定 ACSA が国会で可決されている。)
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6月30日、アメリカとスリランカの共同訓練に、海上自衛隊の艦艇が初めて参加。
7月6日、岸防衛相がスリランカの大統領とテレビ会議し、2019年に署名された日スリランカ防衛協力・交流の覚書に基づき、二国間の防衛協力・交流を更に進めていくことを確認した。今後も防衛当局間の緊密なコミュニケーションを継続し、自由で開かれたインド太平洋の維持・強化に向け、防衛協力・交流を強力に推進していくとのこと。
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7月5日〜10日、海上自衛隊はオーストラリアで、日米豪韓共同訓練「パシフィック・ヴァンガード21」を実施した。「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けて、とのこと。
7月14日〜17日、海上自衛隊はオーストラリアで、日豪韓共同訓練「パシフィック・ヴァンガード21」を実施した。
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7月10日、海上自衛隊はパキスタン海軍と親善訓練を実施した。「重要なシーレーン上の」パキスタン・カラチ沖の海空域で。
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8月2日〜27日、米国主催の大規模広域訓練(LSGE21/Large-Scale Global Exercise21 )に自衛隊も参加。過去40年で最大規模の演習だという。
米インド太平洋軍は「米国は同盟国のパートナーと協力して、地域の安定や、通信パイプの安全を確保し、ルールに基づく内部秩序を強化し、すべての国の自由と開放に資するインド太平洋を守る」と表明。
前段、8月2〜8日は、オーストラリア北東〜フィリピン東方に至る海域で、米豪海軍と海自。
後段、22〜26日は日米英蘭の4カ国が参加。沖縄南方海空域で、本格的な「島嶼戦争」の訓練が行われたと見られる。陸上自衛隊は、水陸機動団・西部方面航空隊、海自は護衛艦「いせ」「あさひ」及び搭載機、空自は第9航空団・南西航空警戒管制団が参加。
空母「クイーン・エリザベス」率いる英空母打撃群(CSG21)との共同訓練も初(「多国間高度航空機共同展開等訓練」)。
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8月14日〜22日。米インド太平洋軍主催のインド太平洋参謀総長等会議(第23回)が行われた。地域の19カ国の上級軍事指導者等がハワイに集合、自衛隊からは山崎幸二統合幕僚長が参加。
オーストラリア国防軍司令官のアンガス・キャンベル大将は、「同地域は第二次世界大戦以来〝最も重要な戦略的再編〟に直面しており、新型コロナウイル ス感染症(COVID-19)パンデミックにより状況が複雑化している。」とし「こうした環境により、インド太平洋地域の軍事指導者等がこれまで以上に一丸となって防衛外交、協力、能力開発体制を深化することの重要性が高まっている」と述べた。(参照:インド太平洋防衛フォーラムHP)
「特に、〝自由で開かれたインド太平洋〟の基本コンセプトである法の支配などの基本的価値の普及・定着を図り、この地域をいずれの国にも分け隔てなく平和と安定、繁栄をもたらす国際公共財とすることの重要性を再認識するとともに、連携の強化の必要性について共有しました。」(統合幕僚監部発表 8.24)
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8月26日〜29日、海上自衛隊は日米印豪共同訓練「マラバール2021」を実施。「日米豪印の連携枠組み〝クアッド〟内での協力を深め、インド太平洋地域で海洋進出を強める中国をけん制する狙い。(時事通信8.3)」
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8月25日〜、海上自衛隊は日米英蘭共同訓練(Pacific Crown)を実施。
25〜26日。海自護衛艦「いせ」「あさひ」は、沖縄周辺海域で「クィーンエリザベス」及び英空母打撃群、米海軍駆逐艦「ザ・サリバンス」、蘭海軍フリゲート「エファーツェン」及び米英F-35B艦載戦闘機等)との日米英蘭共同訓練 (Pacific Crown 21-1)を実施。
「長い歴史と伝統を有する日英関係が〝新たな段階〟に入った現在、英国の最新鋭空母とともに行動できたことを非常に光栄に感じています。」と日本側指揮官。
9月2日~7日。海自第2護衛隊群は、本州南方海域において、「クィーンエリザベス」及び空母打撃群との日英米蘭加共同訓練(Pacific Crown21-3)を実施。海自からは「いせ」、「きりしま」等護衛艦5隻、潜水艦、P-1哨戒機が、空自からF-2、F-15、 F-35A戦闘機、KC-767空中給油機、E-767空中指揮管制機といった海自・空自の主力部隊が参加。防空戦や対潜戦等の各種戦術訓練を実施。
「自衛艦隊は、コロナ禍にあっても、即応態勢を維持し、我が国の防衛のみならず、〝自由で開かれたインド太平洋〟の実現に向けて、今後も同盟国・友好国海軍とともに協働して、グローバルな課題に対応して、インド太平洋の平和と安定に寄与しています。(自衛艦隊HPより)」
9月8日~9日、護衛艦「いせ」「いずも」は、空自F-35A戦闘機とともに、関東南方海域において、横須賀基地を出港した「クイーンエリザベス」空母打撃群との日米英蘭共同訓練(Pacific Crown21-4)を実施。
9月4日〜9日、英空母「クイーン・エリザベス」が、そして、9月5日〜7日、英補給艦「タイドスプリング」が在日米軍横須賀海軍施設に寄港。また、9月5日〜7日、オランダのフリゲート艦「エファーツェン」が海上自衛隊横須賀基地に寄港した。
「こうした英空母打撃群の日本寄港や自衛隊との共同訓練の実施は、長い歴史と伝統を有する日英防衛協力が〝新たな段階〟に入ったことなどを示す象徴となるものであります。防衛省・自衛隊は、今後も基本的価値と戦略的利益を共有する英国などと共に、〝FOIP〟の維持・強化、 そして、グローバルな安全保障上の課題への対処のために協働し、地域の平和と安定に…」と岸防衛大臣(9.3会見)。
9月22日、クイン国防閣外大臣が訪日。岸防衛大臣を表敬、中山防衛副大臣と会談。防衛装備庁航空装備研究所を視察。
「日英は、将来の戦闘航空システムに関する戦略的必要性を共有しており、今後、次期戦闘機開発、防衛装備・技術協力に関する議論をさらに進める」と述べた。
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9月10日〜、岸防衛大臣がベトナム訪問。「日越関係は〝広範な戦略的パートナーシップ〟にあり、ベトナムは〝自由で開かれたインド太平洋〟を維持・強化する上で重要なパートナーです。(防衛省・自衛隊twitter)」
11日、「防衛装備品・技術移転協定」が署名された。「協定は、日本の防衛装備品や安全保障技術を輸出する場合、相手国に適正管理してもらうもの。米英豪やインドネシア、フィリピンなど10カ国と結んでおり、今回で11カ国目となる。昨年8月には国産完成品の輸出としては初となる防空レーダーをフィリピンに輸出することが決まった。ベトナムとの間では、艦艇の輸出などを念頭に協議する。(朝日新聞 9.11)」
「…岸氏は、〝日越防衛協力は、地域や国際社会の平和と安定により積極的に貢献するための協力であると再定義し、新たな段階に入った〟と述べた。(朝日新聞 9.11)」
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4.英米豪、EU/新たな枠組みと、インド太平洋への関与・進出
9月15日。「AUKUS」…英米豪の3カ国は、新たな安全保障の枠組みを構築したと発表。
この協力体制により、オーストラリアは初めて、原子力潜水艦の製造が可能になるという。
「この日の3首脳の共同声明は、インド太平洋地域を、テロや組織犯罪の火種を抱えている場所だと説明。〝サイバースペースなど、新たな安全保障問題の前線となっている〟とした。(BBC 9.16)」
「英当局者は、AUKUSが特定の国を意識したものではないと主張するものの、3カ国がインド太平洋地域における中国の軍事力増強を懸念しているのは明らかだと解説した。(BBC 9.16)」
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9月16日。EUはインド太平洋戦略を発表。
「台湾とも経済面での関係強化をはかるとともに、この海域への加盟国の艦船の派遣に力を入れて、存在感を高めていく考えを示しました。(NHK 9.17)
「(中国の)南シナ海や東シナ海、台湾海峡などでの力の誇示や緊張の高まりは、ヨーロッパの安全保障と繁栄に直接的な影響を及ぼす可能性がある。」(ボレル上級代表 16日会見)
「自由、民主主義、法の支配といった基本的 価値を共有する日本とEUの間で、引き続き、『自由で開かれたインド太平洋』の実現に向け、安全保障・防衛、経済、気候変動などの幅広い分野で具体的な協 力を一層進めていきます。」(茂木外務大臣談話 16日)
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5.自衛隊の南西シフト/スケジュール
4月、宮古島に「保良訓練場」が開設。完成した2棟(3棟計画のうち)の弾薬庫の運用が始まった。6月2日にヘリを使った弾薬搬入が強行されたが、地対艦・地対空ミサイル弾体は宮古島に運び込まれていない。だから琉球弧ミサイル戦争態勢は、まだ始動していない。「ミサイル搬入阻止!」宮古島市民の、必死の抵抗が続いている。一方…
8月、石垣島平得大俣で建設中の陸自ミサイル基地を、防衛省は2022年度にも開設させる方針であることが判明した。2023年頃開設の予定だと言われていたが、1年早まったことになる。
8月3日、与那国島に陸自電子戦部隊を配備すると、2023年度をめどに検討していると、防衛省が表明。
8月6日、馬毛島基地計画で、防衛省が港湾イメージ図を公表した。「魚が湧く」豊かな漁場をつぶして造られる計画の巨大な係留施設には、空母化された「いずも」入港も想定されている。海底ボーリング調査は9月から再開されている。
8月20日。陸上自衛隊勝連分屯地(沖縄県うるま市)に地対艦ミサイル部隊を2023年度をめどに配備する方針であると、沖縄防衛局はうるま市に伝えた。奄美大島・沖縄島・宮古島・石垣島の4つの地対艦ミサイル部隊をまとめる連隊本部も、勝連分屯地に置かれる方針だという。
奄美大島瀬戸内分屯地に建設中の、山をくり抜いて建設中の5本の地中式巨大弾薬庫は、2024年完成の計画。
もう数年後に、琉球弧ミサイル戦争発動態勢が出来てしまう(完成ではないにしても)…、そういうスケジュールが一斉に示されはじめている。
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…このような流れのなかで、9月15日、「陸上自衛隊の強固な意志」が込められた陸自大演習が始まった。中国はどう受け取るだろうか。
あたかも「島嶼への攻撃」(「中国による」とは、国は公式には決して言わないが)の恐れが自明のものであるかのように語られ、島嶼戦争の準備が、「強固な意志」として示される…。
…9月20日、中国メディアの環球網は、自衛隊が28年ぶりの大規模な演習を実施していることについて「日本はいったい何をするつもりなのか」とする記事を掲載した。
…そして、多くのコストやリスクを抱えながら、民間のリソースまで動員してまで実施する演習の狙いについて、岸信夫防衛大臣が10日に「直面しうる島しょへの攻撃に対処するため」とコメントしたことを取り上げ、この「島しょ」が尖閣諸島だけでなく、台湾を指す可能性もあるとの見方も出ていることを紹介。「自民党総裁選が近づく中で日本国内の政治の右傾化が引き続き強まっている。日本が演習の名を借りて示している軍事的な野心には、たしかに警戒すべきだ」と評している。 (▶レコードチャイナ9.22より)
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「自由で開かれたインド太平洋」というスローガンが、これでもか!、というほどに連呼されている。そこには、「法の支配などの基本的価値の普及・定着を図り、この地域をいずれの国にも分け隔てなく平和と安定、繁栄をもたらす国際公共財とすることの重要性を再認識するとともに、連携の強化の必要性について共有する」という基本コンセプトがあるという。しかし、それに基づいて行われている、とされるのは、上に列記したような事態だ。わざわざ地域の緊張が高めておいて、その度に更に、「連携の強化の必要性」が共有される。
…そもそも外交とは、異質な価値観と利益の共生の上に、初めて成り立つものだ。 その意味で、そもそも「価値観外交」なるものは、外交の意味をはき違えた虚構の言説に過ぎない。 いま求められているのは、異質な体制と異なる国々の利益と共生し、相互依存関係を深化させていくことだ。
同じ価値観を共有する、という者同士が集まって、そうでない者を包囲し、窒息させようとする。しかしそもそも、そこに「価値観」と呼べるような何物かがあるのか。共有している価値観とは、「中国脅威論」だけではないのか。「地域の平和と安定と繁栄をもたらす国際公共財」と称する「覇権」のための勢力争いに過ぎないのではないか。そのために遠く離れたアメリカや欧州から軍隊が島々に続々とやって来る。遠く離れた地域なので、そこが危険に晒されることに無頓着だ。遠く離れていないはずの日本政府は、しかし、島々を捨て石にする。あたかもホストが来賓をもてなすように…、「自由で開かれたインド太平洋」のホスト国を気取って、日本の「端っこ」の「離島」「国境の島」と呼ばれる島々を提供しようというのか。
「自由で開かれたインド太平洋」、その「実現のために」最前線とされる島々。そこでは、島々の人びとが豊かな自然や文化とともに平和で安心して暮らしていく、という価値は認められていない。
何が「自由で開かれたインド太平洋」だ!
陸自全部隊大演習の中止を!!
9月24日(金)15:00〜、官邸前抗議行います。ぜひ、ご参加ください〜!!
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