【2021年 9月の保良ゲート前】と、11月・ミサイル搬入させてたまるか!!
宮古島へのミサイル搬入を許すな!
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ふたつのこと
宮古島にミサイルが運び込まれると、懸念されるふたつのこと。
…住民の安全・安心できる暮らしが損なわれる。
…ミサイル戦争・島嶼戦争態勢が始動し、未来の東アジアの平和が損なわれる。
集落・民家との至近距離に造られた弾薬庫にミサイルが置かれることの危険性について、住民は、基地建設着工前から再三にわたって懸念を表明し説明を求めてきたが、政府防衛省は有効な説明をしていない。ミサイル弾薬搬入計画に対しては、宮古島市は「住民への説明」と「搬入に伴う情報の開示」を求めてきたが、それすら、政府防衛省は応じていない。住民がこれからも「安心して暮らしていける」と思えるための材料は見当たらない。「有事」の危険性や安全対策については、政府防衛省は一貫して「我関せず」の態度だ。
地対艦ミサイル部隊と地対空ミサイル部隊は、石垣島と沖縄島(勝連分屯地)に配備が計画されている。与那国島にも配備されるのではと懸念されている。
奄美大島(2019年)と宮古島(2020年)には既に配備されたが、奄美大島の〝本格的〟な地中式弾薬庫は完成していない(2024年完成の計画)。宮古島・保良の弾薬庫は3棟計画中2棟が完成したが、ミサイル部隊が使うミサイル弾体は、まだ配備されていない。これが搬入されると、今まで進められてきた一連の「南西諸島自衛隊配備計画」が、ミサイル戦争・島嶼戦争の「有事即応態勢」「臨戦態勢」として動き始める「第一歩」となる。
日米共同の軍事戦略に基づいて、琉球弧の連なる平和な島々は、中国包囲のための最前線基地に仕立て上げられようとしている。地対艦ミサイルを主力とする海峡封鎖態勢では、島々を戦場とする「地上戦」をも含む「海洋限定戦争」が想定されている。
米国の『海洋プレッシャー戦略』(2019年5月 CSBA)には、「この戦略は、第一列島線内の島々を中国の攻撃に耐えうる防衛上の要所に変えることで、地域をアメリカに有利に利用するものである。」「この戦略では、第一列島線に沿って、海軍、空軍、電子戦部隊、その他の能力を背景に、米軍と同盟国の地上配備のミサイルの量を増やす事で、残存率の高い精密攻撃ネットワークを構築することを求めている。」などと記されている。
この日本が提供する「最前線」に、オーストラリアや遠くヨーロッパなどから軍隊が押し寄せ、「自由で開かれたインド太平洋」を叫び、日米との挑発的共同軍事演習をくり返している。あるいは「クアッド」「オーカス」など、中国包囲に関わる多国間の枠組みや軍事協定が強化されたり新たにつくられたりしている。
琉球弧の島々は、大国同士の思惑、大国がつくる軍事的対立構図の犠牲にされようとしている。
大国は「平和」と「安定」を口にする。
連なる島々を「第一列島線」などと名付け、そこを中心とする軍事的対立構図をわざわざ描いた上で、そこに「抑止」と「対処」態勢を敷く。それが、「大国/帝国」、という「敵」の存在が無ければ「存立」することが出来ないものにとっての「平和」と「安定」だ。「限定戦争」を許容あるいは推進する、全面戦争を回避できるなら良しとするものが考える、「覇権」を前提とする「平和」と「安定」だ。そんなものは、地に足をつけて生きる人びと、私たち、にとっての「平和」や「安定」とは何の関わりもない。
…宮古島にミサイルが運び込まれると、住民の安全・安心できる暮らしが損なわれる。
…ミサイル戦争・島嶼戦争態勢が始動し、未来の東アジアの平和が損なわれる。
このふたつを、ひとつの問題としてつなげる。
宮古島の人びとが、島々の人びとが、安心して暮らせること。そのための豊かな環境を守り、維持し、あるいはつくっていく、ということ。島々の軍事基地をなくすこと。それは、私たちが暮らす東アジアの未来に平和をつくるということだ。私たちの平和は、そこから始まる。ミサイル搬入させてたまるか!
何が島嶼防衛だ!
何が自由で開かれたインド太平洋だ!
宮古島にミサイル弾薬を持ち込むな!
ミサイル搬入ではなく、ミサイル基地を撤去しろ!
弾薬搬入ではなく、弾薬庫を撤去しろ!
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2019年3月、宮古島の「千代田カントリークラブ」跡地に陸上自衛隊「宮古島駐屯地」が、未完成・工事中の状態のまま開設、警備部隊等が配備された。宮古地区自衛隊協力会の事務局長(当時)が所有し約1億6千万円で競売にかけられ防災公園をつくることが計画されていた千代田カントリークラブの土地の防衛省への売り込みに尽力した下地敏彦宮古島市長(当時。宮古地区自衛隊協力会名誉会員でもあった)は今年1月の市長選で落選したので「国とのパイプ役」から「トカゲの尻尾」に転じ、2018年5月当時防衛省への同土地売却へ便宜を図った見返りに土地所有者から現金を受け取ったという収賄容疑で時効間際に逮捕されることになった。同土地は国に約7億円で売却されたという。
宮古島駐屯地には住民を騙して弾薬庫が、それも民家からわずか150mという場所に、造られた。弾薬庫から50mも離れたいない場所には7基の燃料タンクが埋設された。住民への説明に反し、グラウンドもヘリパッドと併用するという。基地敷地内の御嶽は住民を騙して約半分に削られた。基地の真下には南北に活断層が走り、空洞や軟弱地盤の存在も判明している。「命の水」である地下水の汚染も懸念されている。
宮古島駐屯地開設直後には、弾薬庫に「中距離多目的誘導弾」や「迫撃砲弾」が住民を騙して保管されていたことが判明し、防衛大臣の指示で島外へ搬出されたことになっている。
宮古島駐屯地開設から約半年後、2019年10月、「保良鉱山」跡地で基地(弾薬庫)建設工事が始まった。人間が暮らす島々にミサイル攻撃拠点基地を造る、というあまりにも度を超えた計画の一部とはいえ、2つの集落に挟まれた土地…人びとの生活圏に、「地対艦誘導弾」「地対空誘導弾」という強力なミサイルを置くための弾薬庫3棟と、射撃場や訓練場等を備えた基地を造るのだという。弾薬庫からいちばん近い民家までの距離は250mに満たない。
およそ350人が暮らす保良・七又集落の全ては、基地の中心から半径1km圏内に位置している。
保良部落会は2017年12月に圧倒的多数で陸自弾薬庫配備に反対する決議を採択。七又部落会は全会一致で2018年10月に反対決議を採択していた。防衛省はこれを無視し、用地の取得も終わらぬうちに力づくで工事を着手した。弾薬庫の安全性は何ひとつ担保されていない。
たとえば「保安距離」の問題。「火薬類取締法」に準拠した基準で、「火薬の保管量の上限」と「保安物件(第1〜4種に分類)」から「最低確保しなければならない距離=保安距離」が算出される。あるいは「保安物件」と「弾薬庫」の距離から、「弾薬庫に保管できる火薬量」が決まる。防衛省は、火薬の保管量は「秘密」だという。そのうえ、集落の家屋が保安物件の「第何種」に当たるのか明言しない。住民は、保安距離が守られているのか、知ることはできない。そもそも基準となる「火薬類取締法」自体が、軍隊が使うミサイル等の兵器を想定して作られたものではない。
ミサイル発射後のブースター落下の危険性は、山口・秋田ではイージス・アショア計画中止の理由となったが、宮古島では説明すらされなかった。発射地固定のイージス・アショアよりも「撃っては逃げる」をくり返す車載式の地対艦ミサイルの方が、ブースター落下位置の予測や避難はずっと困難だと思われるのだが。
事故発生時のシミレーションを出してほしいと住民が訴えても、「能力が分かってしまうので出せない」と言う。防衛局から情報提供がなければ、避難計画さえつくれない。
このような安全性をめぐる問題は、基地開設後の現在も、解決も有効な説明もされていない。
2020年3月、保良の弾薬庫完成を待たずに、「宮古島駐屯地」に「地対艦ミサイル部隊」と「地対空ミサイル部隊」が配備された。ミサイル弾体を置く場所がないので、カラのミサイル部隊配備となった。既成事実の積み重ねをとにかく優先する方針が、ここでも採用された。
2021年4月、「保良訓練場」が、工事中のまま、開設。完成したのは、2棟(3棟計画のうち)の弾薬庫だった。すぐに訓練が始まり、静かだった集落周辺を、物々しい軍事車両ミサイル車両が行き来するようになった。5月には、とつぜん、夜間空砲射撃訓練が行われた。模擬弾を使用した訓練も行われた。「振動だとか騒音だとかそういったものが生じることは、基本的に考えておりません」と説明していたが噓だった。そして6月2日、自衛隊ヘリによる空輸で運ばれた弾薬類が、保良の弾薬庫に搬入された。住民の必死の抵抗にも関わらず、とうとう弾薬庫が使われてしまった。しかし辛うじて、ミサイル戦争態勢の主力となる地対艦と地対空のミサイル弾は、搬入されていない。8月、こんどは海自輸送艦でのミサイル弾薬搬入が計画されたが、これは市民の要請行動と座喜味市長の「港使用不許可」の英断によって阻止された。ただし不許可の理由は、新型コロナの感染状況から市民感情として受け入れ難い、というもの。再度の搬入計画いつ出て来るか分からない、という住民にとって不安な状況が続いていた。
11月8日、座喜味市長は保良の弾薬庫への弾薬搬入に伴う港湾使用について、平良港の「使用許可」を発表した。5日に、すでに容認の表明をしていたという。水面下で何かあったのだろうか。座喜味市長は自衛隊配備容認の立場ではあるが、これまでは、住民への十分な説明なしに弾薬搬入を強行することには反対としていた。
…「国の姿勢が十分とは考えていない。安全担保や住民説明会について繰り返し求めている」と述べた。市条例や港湾法を引き合いに「行政上、事務手続きはやらないといけない。断る理由がない。苦渋の決断だ」と説明した。
…仲里代表は「ミサイルが来ると市民の命を危険にさらす。それが(不許可の)理由になるはずだ。判断する前に市民の意見を聞くべきだった」と怒りをあらわにした。(琉球新報11月9日)
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国・防衛省・自衛隊は、この島の将来を、どのように考えているのだろうか。基地門柱のシーサーに監視カメラが設置された程だ。住民が安心できる暮らしと軍事活動との共存を目指しているとは、これまでの経過を見る限り到底思えない。
防衛省は火薬の保管量は「秘密」だと言うが、配備部隊の規模から、どれくらいの火薬量が必要とされているのかは推測できる。そして、現在の弾薬庫と民家との距離で「保安距離」を守っていたら、自衛隊が望む火薬量は配備できないことも推測できる。
「土地規制法」が制定された。ミサイルを配備し、地域の軍事化の既成事実づくりが進めながら、高齢化の進む保良・七又地域で住民の追い出しを始めようとするのではないか。
これまで、島々の住民は、ギリギリの、必死の抵抗を続けてきた。しかし、もしもこのまま島々の軍事要塞化が進んでしまったら、島の人びとは今まで以上に苦しい立場に追い込まれてしまう。
ミサイルは島々を守るためのものではない。国策によって島々に押しつけられた、島々を危険に晒すものだ。そんな国策を許してきた私たちは、主体的に行動しなければならないと思います。
(以下、更新が遅れていた…)
【2021年 9月の保良ゲート前】
9月。英米豪の3カ国は、安全保障の新たな枠組み「AUKUS(オーカス)」を構築したと発表した。EUはインド太平洋戦略を発表した。「南シナ海や東シナ海、台湾海峡などでの力の誇示や緊張の高まりは、ヨーロッパの安全保障と繁栄に直接的な影響を及ぼす可能性がある」のだという。日米豪印の4カ国は、非公式の枠組み「クアッド」としての初の首脳会談行った。(▶【メモ・2021年9月・南西シフト関連】)
「自由で開かれたインド太平洋」というスローガンのもとに、「自由、民主主義、人権、法の支配といった普遍的価値観を守り抜く」ために、価値観を共有する国々が関係を強化し協同していくそうだ。国々にとって時代は今、空前の中国包囲ブーム、なのか。
「自由で開かれたインド太平洋」と、保良
こうした動きは、マスメディアでもさかんに取り上げられているようだ。中国包囲ブームに、どう関わるのがお得か…積極的な国、ライバル国を出し抜こうとする国、距離を置く国、巻き込まれる国…、事情通のジャーナリストは「国際情勢」を書き立てる。しかし、こうした情勢が、「最前線」とされる琉球弧の島々で起こっていること、例えば保良で集落との至近距離に人命無視の軍備がなされていること、と「同時」に語られることはほとんどない。それは何か根本的で致命的な「欠如」ではないか、と思う。
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うたうたいのFujikoさん(埼玉県在住)は保良ゲート前行動のSNSグループに参加して、ほぼ毎日、「保良だより(遠隔リポート)」を、保良の方々の許可を得てfacebookとtwitterに発表しています。
↓以下、「保良だより」を〝毎月第一土曜日の島じまゆんたく〟でスライド上映するために9月分をまとめたものです(原文はFujikoさん/編集は石井杉戸)。
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