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種子島‐馬毛島軍事化問題の状況 続報、と、種子島に行ってきました①…馬毛島百景

種子島‐馬毛島軍事化問題の状況、続報

と、種子島に行ってきました①

馬毛島百景

 

 6月末から7月にかけて(2022年)、種子島に行ってきました。少し時間が経ちましたが、ブログでも少しずつ報告したいと思います。その前に、

9月1日のブログ▶ で書いた「緊迫する馬毛島-種子島軍事化問題の状況」の続報です。

 

◯カギをにぎる八板俊輔市長の動向。9月議会で意見表明か…の続きです。

八板市長は馬毛島基地計画への賛否を曖昧にしたまま、9日、とつぜん馬毛島を防衛省に売り渡す「3案件」を提案し、市議会での審議が始まりました。そして市民は…

 


 

9月2日(金)八板俊輔西之表市長、所信表明

 賛成派の市民にも反対派の市民にも寄り添うかのようにして、市長は馬毛島基地計画への賛否を明らかにしなかった。しかし最後に「同意不同意が言える状況にはありません」としつつ、

「市民の安全・安心を守る立場から、市民の不安と期待に対する、さらなる具体的な措置を講じるよう国に求めていきます。」「今後、国による馬毛島の基地整備問題の進展により、市に求められる行政手続等があれば、適切に対応してまいります。」

と延べ、「基地計画に賛成はしないが〝黙認〟する。今後、市として防衛省に協力していく」という含みを持たせた。

▲市長所信表明

 

9月4日(日)

「馬毛島軍事基地反対!」集会とデモ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

写真:馬毛島情報局facebookより

 

 

9月5日(月)市と防衛省9回目の「協議の場」、市有地売却等をテーマに

 防衛省は市に対して、馬毛島小中学校跡地(市有地)の売却、自衛隊員宿舎用地として下西校区の市有地の売却、馬毛島内の3つの市道の廃止、を求めた。

「西之表市が〝情報を得るため、仮に基地か出来るとすれば〟という建前で続けていた防衛省との協議、建前が無くなっても続いています。(馬毛島情報局facebookより)

 

 

9月8日(木)市民団体、市長に要請書提出

 馬毛島への米軍施設に反対する市民・団体連絡会「馬毛島学校跡地および自衛隊員用宿舎の売却ならびに馬毛島市道の廃止手続きを進める議案提出を行わないことを求める要請書」

 馬毛島情報局主宰三宅公人、他市民有志「馬毛島小中学校跡地の防衛省への売却の中止を求める市民有志からの公開要求書」

  

9月9日(金)西之表市、市議会本会議で「3案件」提出

1 馬毛島小中学校跡地(市有地、約8800㎡)の防衛省への売却

2 下西校区の市有地の農地(約7000㎡)の防衛省への売却

3 馬毛島の市道1~3号線の市道認定廃止

 西之表市として防衛省に抵抗できる最後の切り札を、自ら売り渡す、基地建設に協力する、という提案がなされた。馬毛島小中学校跡地は、馬毛島出身者の〝こころのふるさと〟でもあるという。

議会後の記者会見で、「公約違反との声もあるが」という質問に対し八板市長は、「公約は常に頭に置いて実現を図っているが、現実にも対応しなければならず、公約違反とは考えていない。市民の理解を得られるよう、いろいろな機会を通じて説明しなければならない。」と答えたという。

 八板市長はこれまで、馬毛島小中学校跡地を「売る考えは無い」としていた。「考えが変わった理由は何か」との質問に、市長は「95日の防衛省との9回目の協議の結果、考えを変えた」と答えた。

 

「〝市民の安全安心を確保するため〟という建前の協議が、防衛省から市長への有無を言わさない指示の場となっているようです。(馬毛島情報局facebookより)

 議案は、本会議最終日の30日に採決が行われる見通しだと言われている。

 

中種子町では、町有地(旧種子島空港に隣接する土地、約7300㎡。自衛隊の訓練施設や倉庫等が建設される計画)を防衛省に売却することが、7日の議会で決まった。

南種子町では、小園町長が旧南種子高校のグラウンドの一部を売却する意向を議会で明らかにした。議決が必要な面積に満たないため、議案は出さずに手続きを進める意向。

 

 

9月13日(火)防衛省、種子島の1市2町を「米軍最編交付金」支給対象に

---西之表市「3案件」提出を受けて

 浜田防衛大臣は閣議後の記者会見で、西之表市の「3案件」議会提出について「馬毛島基地の安定的な運用、そしてまた適正な管理、そして円滑な運営という観点から、防衛省が西之表市に要望していた内容を実現するために必要な手続であります。」と評価し、「このような状況を踏まえ、西之表市、中種子町及び南種子町を再編関連特定周辺市町村に指定をし、再編関連特別事業を実施することが、再編事業の円滑かつ確実な実施に資するとの判断に至りました。そのため、昨日、関連する手続を開始をいたしました。」と述べた。

 

 

9月14日(水)馬毛島の市道1~3号線の市道認定廃止について、

 産業厚生委員会で賛成多数で可決 30日の本会議へ

 「市長の提案の理由は、〝市が実質的に管理出来ていないから〟であり、〝全く行政事務上の手続きだ〟とのことです。

 管理出来なくなった理由は、以前の地権者タストンエアポート社の物理的な妨害、さらに新しく地権者となった防衛省の国家権力を笠に着た妨害のためです。

 小学校跡地を所有している(今議会で防衛省への売却の提案がなされている)市当局だけではなく、馬毛島に土地を所有し、市道を利用していた民間の地権者もいます。その地権者が、市長に〝市道に入れるようにして欲しい〟という要望書を提出していました。この要望書も無視して市道廃止の提案をした市長は、納税者の利益を守る立場も放棄しています。あくまでも、防衛省のいいなりです。(馬毛島情報局facebookより)

 

 議会での質問「市長は今まで掲げていた馬毛島の利活用政策そのものを変更するんだと、それについてのご説明は一切ないんですがどのように考えているのか?」(長野広美議員)にも、市長はまともに答えなかった。

 

 

9月18~19日頃 台風14号

写真は馬毛島情報局facebook

「台風の爪痕」より

 

 

9月22日(木)市民22名が、「八板市長の市議会への3提案は違法もしくは不当である」として、市有地売却の差止めなどを求める住民監査請求!

午後2時、請求書提出(上)

午後3時、記者会見(右上)

午後5時、抗議集会(右)

 

 

 

 

 

 

 

(写真は馬毛島情報局facebook

「動き始めました!」より)


 

9月26日(月)2回目の監査要求の予定!

「あなたの叫びが、基地建設を止めます。午後1時半に市役所おきがるーむに来て下さい!

(馬毛島情報局facebookより)

 


 

西之表市と馬毛島活用計画と馬毛島小中学校跡地

 

 

「馬毛島の自然環境、歴史・文化的なことを後世に残すべき貴重な〝財産〟として捉え、ありのままの姿を活用し、自然と人との関わり方を学び、後世に受け継がれていく教育や観光の土台として活動や体験ができる島として、市民はもとより全国の人々に深く馬毛島を知っていただく取組みをすべく、(略)事業を進めていく。なお、その拠点として、旧馬毛島小・中学校校舎の有効活用なども視野に入れ検討する。」

(『馬毛島活用に係る報告書』【概要版】201712-より)

 

 

 西之表市では、20175月から市役所職員で構成する検討チームを設置し、馬毛島活用の方向性を検討して参りました。検討された方向性としては、1.宇宙関連事業、2.馬毛島自然保護区及び自然・文化総合学術調査施設の設置、3.馬毛島における体験活動の実施の3点」(▶西之表市ホームページよりとし、201712月には『馬毛島活用に係る報告書』を公開している。

 『報告書』では、「3提案」のひとつに上がっている馬毛島小中学校跡地について「今後利用を検討するうえでの重要な拠点施設(避難所・研修宿泊所)となる」「今回検討している研究施設・体験活動拠点施設についてもここをベースとしたいとしている。

 

 また、防衛省の「馬毛島基地計画」で平たく整地されることになっている岳之腰については「トーチカ:戦争遺構のひとつ。昭和16年日本海軍が構築したもの。このトーチカがある岳之腰は、馬毛島の最高地(71.1m)になる。見晴らしがよく、夜には星空観測に最適である。全体を見渡せることから教育研究の一環として、自然体験活動などでの観測施設としておおいに活用可能である」

 

 

 馬毛島体験活動は、2018年7月、20198月、20207月に実施されている。参加者の感想文には、馬毛島の魅力が溢れている。(▶参加者感想文概要)

これらのプロジェクトは、現在進行中のものであるはずで、これまで八板市長も、馬毛島の利活用計画を主要施策に掲げてきた。この事業が今後どうなるのか、このままでは、何の説明もないまま、学校跡地が防衛省に売り渡されてしまう。

▲馬毛島小中学校跡地(馬毛島体験活動で)

 


▲能野

 

馬毛島百景

 

 

 6月末から7月にかけて、「島じまスタンディング」メンバー4人で、種子島に行ってきました。鹿児島港から高速船「トッピー」に乗船。1時間ほど進むと、馬毛島のなだらかな島影が見えてきました。はじめは屋久島と馬毛島が重なって、次に種子島と馬毛島が重なって見えました。

 

 馬毛島はいつもそこに浮かんでいました。種子島の、西之表市の西海岸や高台から、いつも目の前に馬毛島を眺めることができました。岳之腰を頂点とするなだらかな島の姿は、時間や天候によって微妙に表情を変えて、見ているとなんともいとおしい気持ちになりました。

 

 「命の次に大事な馬毛島」と言う人がいました。「馬毛島が軍事基地になるのは、身を切られるようにつらい」と訴える人がいました。種子島で数日のあいだ馬毛島を眺めて過ごしていると、種子島の人にとって馬毛島がどういう島なのか、少しだけ分かったような気がしました。

「馬毛島は〝ただの無人島〟ではない。地元住民にとっては大事な同胞(はらから)のような島なのである。そのことをまず理解してもらわなくてはならない。」とかつての八板市長は言いました(『世界』20212月号)

 

 

 馬毛島上陸は悪天候のため叶いませんでしたが、以下、写真をいくつか掲載します。

 

▲飛行機から(撮影:Fujikoさん)

 

▲板敷鼻から

 

種子島開発総合センター鉄砲館の馬毛島

 

伊能忠敬の種子島測量による大図

「大隅国熊毛郡種子嶋沿海図」

 

(馬毛島は西海岸からの目測で描かれた。)

種子島開発総合センター鉄砲館の馬毛島②

 

▲馬毛島情報局のプラカードの馬毛島。季節によって、夕日の沈む場所が変わります。

 

▲西之表港に沈む夕日(Fujikoさん撮影)▼


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